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一
その昔、おとぎの国にありそうなお城にそれはそれは美しい王子さまが住んでおりました。
或る日、愛馬を駈歩で走らせていた王子さまは、森に迷い込んでしまいました。
どうしたものかと愛馬を常足で歩かせていますと、とても醜くて妬み深い魔女と出会ってしまいました。
けれども、王子さまは魔女とも気づかずに馬を止めて言いました。
「あの、おばあさんはここで何をしているのですか?」
「ああ、わしか、わしは今、野イチゴを摘んでおったとこじゃ。」
「ああ、そうですか、それでは道に迷われたのではなくて、この辺のことを熟知してるんですね。」
「ああ、当り前じゃ、わしはこの森に住んでおるからの。」
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