僕は殺し屋

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 トーコさんの姿が見えなくなるまで見続けた僕は、モヤモヤした気分で階段に座り込むと、さっきまで夢中でやっていた事に目を落とした。  二つに切り裂かれた胴体は、土に混じって動きは止まっていた。  どこからやってきたのか、まだ乾ききっていない体に蟻たちが集まりだした。  その動きは僕を無心にした。  僕は立ち上がり握り締めていた石を投げた。  そして勢いよく階段を駆け下りる。  そのまま走って家を目指した。  夏の日は長く、明るい空は今何時なのか分からなかった。  夕食に間に合うように、玄関の前で息を切らすと、見覚えのある靴が目に入った。  僕はTシャツの裾で汗を拭くと、賑やかな声が響いている廊下を通り、居間に続く扉を開けた。 「あ、おかえり!」  そこにはいつもの家族の風景が広がっていた。  同時に僕に向けられた顔の多さに気付く。 「こんにちは。殺し屋」  満面の笑み・・・・・・  不適な笑み・・・・・・と表現するのか。  そこにはトーコさんが当たり前の様に座っていた。  さっき神社で会った時より一段と真っ赤な口紅が目立った。  ヨウちゃんと並んでいるせいかもしれない。  そんな化粧気のないヨウちゃんが僕に言った。 「ユウ! 神社でミミズの解体してたんだって?」  ヨウちゃんは僕の父さんの妹で、今年の春に島に戻ってきた。  離婚したから戻ったのか、実家の旅館の建て直しの為に離婚したのか、僕は詳しく知らない。
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