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夏の記憶①
三年前‥
「凉もっととばせや。遅刻しちまうぞー」
後部座席に乗ってる加賀見士郎が催促する。
「もう少し、我慢しろ!スピード上げるから」
台場凉は素早く電子バイクのシフトレバーをあげる。
(レベル5かいきなりちょっと上げすぎか‥)
「おおっその調子だぜ」士郎が叫ぶ。
その瞬間、後方から白い電子バイクが近づき、右側から抜けていく。
バイクスーツは全部白づくめ、ヘルメットもそうであるが、ヘルメットの下から長い髪の毛がみえる。
「女か?」凉が囁く。
「そうみたいやな。」
「士郎つかまってろ。なめやがってこの凉さまを追い抜くとはいい度胸だ。」
凉はシフトレバーをさらに上げる。
白づくめの女の電子バイクを
(レベル8かこれで限界か。でもこれで追い付けないないだろうな。ざまあーみろ)
凉は後ろを見た。
(何?)
白いバイクはスピードを一気に上げ、凉を抜き去る。
「おい、凉!」
「だめだ。あんなスピードでねえよ。」
中央シティー第三高校の裏門がみえてきた。
「士郎、なんとか間に合ったな」
凉をヘルメットをバイクに引っ掛ける。
「まいったな。あの白いバイク女子」
四郎が相槌を打つ。
「まあいいさ。今度見つけたら容赦しないさ。」
凉は電子バイクを駐輪場スペースに停める。
そして声をあげる。
「士郎、見ろよ!このバイク。さっきの奴だ。
」
「なんだって、うちの生徒かー」
(こんなバイク、乗ってる奴今まで見たことない。何者だ?)
「おい凉、何考えごとしてるんや。もう授業始まるぞ!」
凉は腑に落ちない顔で教室へ向かう。
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