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夏の記憶③
「暑い中、みんなご苦労。夏休みまでもうひと踏ん張りだな。」
柏崎は終了を伝えて教室を出る。
凉は廊下から戻ってきて、席に座り美杉夕子に声をかける。
「今朝の白いバイク、あれきみだろう?」
「うん。
「あの走りは凄かった。きみはライセンス持ってるんだろう?」
夕子はカバンの中からライセンスカードを取り出し凉に見せる。
「ライセンス7!」
凉は驚きの声を上げる。
電子バイクの免許は15歳から取得でき技能のレベルにより取得ランクが決まる。最高ランクは10で凉のテクニックも高いがそれでもランク5であった。
そして凉はずっと先ほどからあった違和感を確認する。
「きみは口が聞けないんだ。」
夕子はノートを取り出して書く。
「緘黙‥かんもくか」
夕子はうなづく。
「幼少時なんかショッキングなことでもあったんだな。」
紙に‥どうもそのようです‥とある。
「もう一回きみの走りを見せてくれないか」
夕子は再びうなづく。
凉は夕子を見つめる。
(なんて綺麗な眼をしてるんだろう‥これが一目惚れってやつか‥)
夕子は再度ノートに書く。
‥わたしのバイクの後ろに乗ってもらえますか?わたし、あなたと居たいんです‥
凉は照れながら答える
「OK!」
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