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キリトス
『魔法は専門職じゃあないが、大規模魔法の1つや2つやってやらぁっ!!ーー永久の凍てつきをここにもたらし、我が身を守る刃となれ!ーー冷月氷刃波っ!』
剣を振り上げると巨大な氷の塊が出現し、漏れでる冷気から無数の氷の刃が出来る
振り下ろすと氷刃は音も無く敵へと突き進む
氷刃は、ただ敵を貫くだけではない
1個1個にとてつもない冷気が込められており、下手に砕いてしまうと周りを凍らせてしまうばかりか武器も一緒に凍らせてしまうのだ
対策としては、武器で砕いてしまわないように打ち返すか、地面に叩きつけるか、炎の魔法で
溶かしてしまうかのどれかである
そしてこの魔法、本来は対個人魔法なのだ
それを複数発動させることにより、大規模魔法になる
だいたいの魔法は、複数発動させれば大規模魔法へと強化されるのだか例外もある
複数発動し安定させるのだから、キリトスの集中力・精神力・技術力の高さをうかがい知れる
ラアリクルは、この間に呪文を詠唱する
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一方クレイは、キリトス達の技術力の高さに驚いていた
学生だと聞いていたからある程度は手加減をし良くてもDランクが妥当であると考えていた
今までの学生達がそうであったから、二人もそのぐらいだと思っていたが、実際は違っていた
確かに、まだ所々経験が足りないところがあるが実力的には、クレイ達に勝るとも劣らない力を持っていた
クレイ
『(筆記試験でも高成績をマークしていたし、この二人は冒険者にするのがもったいないくらいだわ。このぐらいの強さがあれば、きっと王宮でも相当な地位に就けるでしょうね。でも、押されてばかりじゃ面白くない)』
キリトスが放った、冷月氷刃波を炎砲弾で打ち返しながらそう考えた
ガウスとも連絡を取り、クレイは久しぶりに楽しい気持ちになりワクワクしながら彼らを迎え撃つ
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ガウスは、自分の見立てが甘かったと少しばかり後悔していた
剣の打ち合いでも、自分の方が上回っていたし学生だと聞いたから魔法もそこまでの脅威ではないと判断していた
ガウス
『(あ~あぁ。また、クレイに叱られるじゃねぇか。キリトスっていう子だっけ?まさか、大規模魔法を発動するとはねぇ。剣術にそれなりの自信があったようだが、まだまだな。どうせこのまま分断されるようだし、魔法に頼って小細工をしても無駄だってことを教えてやろう!)』
飛んでくる氷刃を受け流しつつ、そう考えた
クレイからも連絡を受け、ますますやる気を出すガウスであった
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ラアリクルは、キリトスが冷月氷刃を発動させ気を引き付けている間ひたすら呪文を詠唱し、キリトスに完成したと目で合図を送る
キリトスはそれとなくラアリクルの様子を伺っていたが合図を確認し、頷く
ラアリクル
『我等を守る防壁よ!出現せよ!!』
そう叫び、杖を地面に突き立てる
突き立てたのと同時に、土煙を出しながら巨大な壁が出現した
壁はキリトスが造り出した氷塊にぶつかり、その身に分厚い氷を纏う
防壁は、より高い防御力を得ることとなった
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分断作戦が成功した今、キリトスは目の前にいるガウスに集中する
剣術に頼れないことはさっきの打ち合いで分かっている
ラアリクルからの支援も受けることが出来ないので、残された最後の手札は魔法しかない
しかし、
キリトス
『(まずったな………さっき大規模魔法を繰り出したからあんまり余力が残ってない……ちっ!)』
魔力配分を考えず使っていたのが仇となった
キリトス
『(しょうがない、残りの魔力を上手く使って勝たなければ…………!)』
剣に風刃という魔法を纏わせる
名前の通り剣を振ると風刃が出るという、初級魔法だ
・・・・
なんとか小細工を仕掛けて有利になるようにしたかったがガウスとの打ち合いは、キリトスが劣勢だった
魔法による攻撃が効いていないのだ
初級魔法なので魔法防御結界で簡単に防がれてしまう
それに、床一面が氷で覆われているのだ
これは氷刃を地面に打ち付けたためである
滑る床では踏ん張りが効かない
そう思って、キリトスは炎砲弾を撃つべきかと考えたがあまり魔力を使いたくないため諦めた
こうなると床が氷で覆われていないガウスの方へ移動しなくてはいけないのだか、いくら斬り込んでも移動する隙を与えてはくれない
キリトス
『(不味い、大いに不味い!!あれ?おかしくない?この闘いって、昇格試験なんだよね?ギルドの職員に聞いたときは、こんなに激しいものになるとは言ってなかったんだけど!!あぁ、床は滑るし、魔力残量は少ないし、全部裏目に出てるし!くっそ!そしてガウスさん、余裕ぶってんなぁ!!)』
ラアリクルがどんな様子なのか判らないため、早く助けに行きたいと思う気持ちが強くなるが、上手く出来ない自分にイライラと焦りを交えた表情になる
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