踵から 真っ直ぐ

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　誠には目標があった。
　今月末に約20年ぶりの登山を計画していた。

　登山を趣味とする会社の上司に話を聞き、登山口の場所や必要な装備を情報収集している最中だった。
「一緒に行くか？」
　そう言われたが、丁重にお断りした。
　山に行ってまで、上司の顔なぞ見なくもない。
　それが本音だった。

　必然的に単独登山となる。
　初心者の単独登山は危険だ。

　急な悪天候に見舞われた場合の対処法、自分の体力と道のりとの兼ね合い、エスケープルートなど、不安要素は満載だ。

　それでも誠は心に決めていた。
　絶対にやるんだと。