15人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
前へ 前へ
田尻誠は歩いていた。
自宅近くの遊歩道を、規則正しく、腕を交互に振りながら。
歩くには良い季節で、暖かい日差しと心地よい風が彼を包んでいた。
歩道の脇にはチューリップやパンジーが、健気に花を咲かせていた。
誠は気持ちよく汗をかきながら、その短い脚で前進していた。
ウォーキングを初めて1ヶ月。
始めた頃は、15分で足を痛めていたが、次第に身体が慣れ、今では30分を超えて歩くことができた。
人間の身体とはすごいものだ。
これを『適応』というのだな。
誠はそんなことを思いながら、40を間近に控えた運動不足の身体を、せっせと前へと動かしていた。
最初のコメントを投稿しよう!