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 田尻誠は歩いていた。  自宅近くの遊歩道を、規則正しく、腕を交互に振りながら。    歩くには良い季節で、暖かい日差しと心地よい風が彼を包んでいた。  歩道の脇にはチューリップやパンジーが、健気に花を咲かせていた。  誠は気持ちよく汗をかきながら、その短い脚で前進していた。  ウォーキングを初めて1ヶ月。  始めた頃は、15分で足を痛めていたが、次第に身体が慣れ、今では30分を超えて歩くことができた。  人間の身体とはすごいものだ。  これを『適応』というのだな。  誠はそんなことを思いながら、40を間近に控えた運動不足の身体を、せっせと前へと動かしていた。  
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