友情のシルシ

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「あの子、居なくなったね」 「よかった。よそにいって」 「ねえ、やめようよ。こんなときにイジメなんて」 「イジメなんてしないって。あれが居ないから、本音言ってるだけだし」 「そうそう。居たら反撃がきついもん」 「でも、今さらって感じだよ」 「あんたには、そうかもね」  わたしは同級生たちをなだめようとする。けれど彼女たちの気は収まらない。 「ねえ、もうやめようよ。亡くなった人の悪口を言うのは」 「あんたがそれを言う資格なんて、ないんだからね」 「そうだ。ずるいんだから一人だけ」 「でも。わたしが自分で逃げたわけじゃないし」 「わかってる。だけど、わたしら。悔しくて」  わかる。  とてもよくわかる。 「でも。だからって、わたしの家に来て言わなくても」  みんなで部屋に押し寄せるなんて。  わたしが望んだことじゃないのに。  酷い。  おかげで部屋の中が血まみれだ。
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