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勇者は更に上を行く!
ガタッゴトッ。
「はぁっ、んふっ♪」
ガタゴトと何かが鳴る音と生温かい息の音が部屋中に鳴る。
僅かながらに青臭い臭いが今は寝ているジングとリヤンの鼻についた。
(なんだ?こんな真夜中に…)
(もう、気になって眠れないじゃないのよ!)
ジングとリヤンは物音と臭いが気になり起きだした。
そして電気をつける。
カチッ。
先程真っ暗だったのが一気に明るくなる。
その物音、息、臭いの主の姿もすぐそこで照らされた。
「!!!」
ジングとリヤンは鳩が豆鉄砲を食らったような表情をしてしばらくは声も出なかった。
なんとそこにいたのは昨日魔物の群れから救った勇者ラベルが全裸の姿でジングの普段纏っている鎧とじゃれていたのだ。
「はぁ、はぁ、魔王様♪」
ラベルはジング専用の黒鎧に白弾を撃ち放つ。
ジングの鎧はラベルの白弾に塗れる。
更にラベルはジングの黒兜を舐め回し、快楽に耽っていた。
「やめろっ!」
ジングが思わずラベルを鎧から突き放す。
ドサリッ!
ラベルは尻餅をつく。
「な、何考えてるのよあなた…」
リヤンは異常者を見るような目でラベルを見る。
「邪魔しないでください!俺は魔王様に奉仕する為にこの世に生まれて来たのです!」
ラベルは自身が世界に生を受けた是非をあの出来事から斜め上に悟ってしまったようだ。
「目を覚ましなさい!!!」
そこでリヤンはラベルのほおを思いきり引っ叩く。
ラベルは横のめりに倒れ、手をほおに触れる。
「貴方は勇者よ!魔王を倒す為にこの世に生まれて来たのよ!あんな事があったからって間違った方向に走っちゃダメよ!!」
リヤンはラベルに叱責を入れる。
リヤンの側からジングはラベルに手を差し伸べる。
「そうだ、君は魔王を倒す為にこの世に生まれて来たんだ、だが君は俺、いや魔王と戦うのに充分な力を得ていない、だから俺が君を魔王と戦う為に鍛えようと思うんだ」
(ウホッ、良い漢…♪)
黒い甲冑を纏ったジングの姿しか知らないラベルは目の前にいる黒髪の美青年をときめいた目で見つめている。
その美青年は言わずもなが、ジングだ。
「貴方の名前は?」
「俺はジング、魔王だ!」
ジングは答えた。
「魔王様ってとてもイケメンなんですね…」
ラベルは関心するようにジングを見つめる。
「ああ、だがその為に黒い鎧で身を隠さないといけない、全く嫌になっちゃうよ…」
「黒い鎧…あっ!」
ラベルはそこで自身が汚した黒い鎧にハッとなる。
「先程はすみませんでした!今すぐ手入れ致しますゆえ…!」
ラベルはジングに必死に謝り、ジングの鎧を洗浄しようと布巾と洗剤を用意する。
「あ、良いよ!自分でやるか「ジングっ!」
ジングが言いかけたのをリヤンが止める。
「下僕よ!貴方の汚したジング様の鎧を洗剤で丁寧に磨きなさい!隅々までね!その後町内を10周走ってきなさい!!」
リヤンはラベルに対し言いつける。
「リヤン…なにもそこまで…」
「貴方は甘すぎるのよ!魔王なら魔王らしくビシバシとしなきゃ駄目じゃない!!」
リヤンはジングを叱るが心の中では
「ウシシ、邪魔者はいなくなった♪」
とほくそ笑んでいた。
「ねえねえ私と良い事しようよ♪」
「何度言わせるんだ?俺はアリン以外の女は作らないって決めてるんだ」
「へえ、生涯独身でも良いってわけ?」
「言ってろ、飯作ってくる」
そう言ってジングは台所に向かう。
飯くらい勇者に作らせればいいのに…。
ホント生真面目なんだから。
良いもん、手に持っている薬をジングの分のオカズと混ぜて嫌でもその気にさせてやるんだから♪
リヤンは薬の瓶から薬を一粒取り出し、それをジングの食べる分へと魔法でテレポートさせた。
ーーー
稽古にジングとラベルが撃ち合いを始める。
「うおおおっ!!」
「遅い!!」
ジングはラベルの木刀を弾く。
ラベル、勇者が魔王を倒すにはそれだけ厳しい稽古が必要となりそうだ。
ジングはせめて稽古時には厳しくラベルを指導していた。
魔王は勇者を甘やかしては駄目なのだ。
リヤンから言わせるとまだまだ甘い…だそうだが。
食事を終えて立ち上がるとジングは体が熱くなるのを感じた。
「何だ?体が熱い…なんか、ほろ酔いしているような…」
ジングはぽうっとした表情で目の標準が定まらない。
「大丈夫ですか?熱があるんじゃ…」
「どきなさいっ!」
ラベルが駆け寄ろうとするのをリヤンが払いのけ、ジングに抱えよる。
「大丈夫?部屋まで連れてってあげるからね♪」
ジングの棒はいきり立っていた。
なんだ…凄くしたい気分だ…誰でもいいから襲いたい…誰でも…。
ジングは発情期の雄状態となり、異性を欲する状態となっている。
(ふふふ…ジングは私のものだわ♪さあ、私を襲って来なさい!そして私のものになるのよ!!)
リヤンは薄ら笑いをしながらジングを抱き抱えている。
「ジングさん…」
ラベルは心配そうにジングを見つめている。
「愛してんぜ♪」
ジングは肌の温もりを求め、目の前の者に口づけを交わした。
「我慢出来ない…君をめちゃくちゃにしたい…」
発情期となると異性を求めるのは本能というもの。
異性を求め、同性と出会うやその同性が同じ雌を求めているとなると勝った方が雌を独占する事が出来るというもの。
それが太古からある世界の摂理…。
しかしジングが求めていた目の前の対象者は同性だった。
「だ、駄目ですよジング様…仮にも僕は勇者、貴方は魔王なのでは…」
「そんなの関係ねえ、俺はお前が欲しいんだ!」
「魔王様…あぁっ!」
ジングとラベルは人目をも気にせず抱き合った。
リヤンはただただ口をあんぐりさせていた。
どうして?どうして私よりもラベルがいいわけ?
しかも同性じゃない!
そして本来なら敵同士じゃない!
そんな事あっていいの!?
リヤンは怒気を含ませてラベルを睨んでいた。
ーーー
「貴方ねえ、最近生意気なんじゃないの?」
人目のつかないところでラベルはリヤンに呼ばれる。
リヤンはラベルに難癖をつけてくる。
媚薬で発情期状態となったジングがリヤンでなくラベルに抱きついてきたのが気に入らないらしい。
「すみません」
ラベルは何のことかわからないがともかく平謝りをする。
「すみませんで済んだら警察はいらないのよ!!」
ドスッ!
そこでリヤンはラベルの漢の急所に蹴りを入れる。
「いっ!!?」
ラベルは急所を蹴られた痛みでしゃがみ込む。
「しゃがみ込めなんて言った覚えはないわよ!!」
リヤンはラベルの髪を引っ張りあげる。
「ごめんなさい!何でもするから許してください!」
謝る以外方法がなくラベルはただただリヤンに平謝りを続ける。
「だったら今すぐマッパになって漢を弄り続けなさい!」
リヤンは強制的にラベルをマッパにさせ、漢を弄らせた。
「何よ元気ないわね、だからあんた女の子にモテないのよ!」
強制的な為反り返る事が出来ないラベルにリヤンは罵りながら魔法のビデオで撮影する。
「ハァハァ…」
ラベルはだんだんその気になってしまい自分の漢を積極的にコスるようになった。
「気持ち悪、あんた見られてコーフンしてるわけ?今朝彼氏の鎧と兜に汚いモノぶっかけてキモいのよ、死んじゃえば?」
「そ、それだけは言わないで…」
感じ出したら感じ出したで散々言葉で突いてくるリヤン。
どっちにしてもリヤンはラベルを罵るのをやめないつもりだ。
そんな時、リヤンの肩に手が乗る。
途端にリヤンの顔は真っ青になる。
「リヤン、そこで何をしている?」
その主はジングのものだった。
「とりあえず魔法のビデオのデータは没収する!もうこんな大人気ない事はやめろ!」
魔法のビデオを取り上げ、リヤンをたしなめるジング。
「全くあんたってば迫力無いわね、魔王なんだから厳しく怒らないと駄目じゃない!」
こんな状況にもひょうひょうとジングをからかうリヤン。
そんなリヤンを無視して「大丈夫か?」とラベルを慰めるジング。
「魔王様…♪」
ラベルはそんなジングに恋心を抱き始めていた。
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