赤紙

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 私は覚られないよう任地を盗み見る。 (またあの国か……)  配達人は震える私を不思議に思って首を傾げた。 「どうしましたか?あなた、初めてでは無いのでしょう?」 「昔は昔だ。……たった一月前、そこで餓死があったのを君は聞いていないか? いいか?餓死だぞ!何故、そんな目に遭わねばならない!」  私の感情を察せられず、配達人はずっと首を傾げたままである。 「彼は……、私に初めて出来た友。 まさに魂が共鳴し合うような大切な友だったんだ」 「はあ、そうですか。うーん……、 まあ、過酷な事は理解していますが、天は全てを見守っておりますから。あなたの不断の努力は報われ、必ずや成果として返ってくる事でしょう」 「今の世はおかしい!!明らかにバランスを欠いている、破滅に向かっているだろ!無策でこのままでは……」  声を荒げた私の様子を見ても、配達人はキョトンとしたままだった。 「……いや、君に言ってもしょうがないことだったな」
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