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「おみずどうぞ!」
やって来たのは小さな女の子。
まだ二歳か三歳くらいかな?
小さな手で、わたしにお冷やを差し出している。
お冷やが重いのか、手がぷるぷる震えていて、ちょっと危なっかしい。
「ありがとう」
わたしがお冷やを受け取ると、女の子はちょこんと頭を下げた。
「ウチの娘なんだ。普段は店に連れて来ないんだけど、今日は特別にね」
…そっか、今日で最後だもんね。
女の子も、お父さんの手伝いが出来て嬉しそうだ。
わたしは割り箸を折って、ラーメンに手を着けた。
とにかく、何処からでもいいから食べよう。
放っておくと、油でヤバいことになりそうだし。
「…いただきます」
小声で言って、まずは野菜から食べていく。
美味しい…けど、やっぱり油っこい。
麺まで行き着けるかな?ちょっと不安になってくる。
…それにしても、我ながら不思議な光景だ。
女の子がラーメン屋に一人。
それも、油でギットギトの、見るだけでカロリーオーバーになりそうなラーメンをかっ込んでいる。
ちょっと前のわたしなら、絶対にしなかっただろう。
でも、もういいんだ。
カロリーを気にする必要も、一人ラーメンを恥ずかしがる理由もない。
だって…。
今日は、地球最後の日なんだから。
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