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2、世界の終りが始まる日
それは16年前。
わたしが生まれたのとほぼ同時に、地球の軌道上に巨大な隕石が発見された。
直径は約30km以上。
地球に衝突すれば、人類が滅亡しておつりがくる大きさだった。
でも、最初は誰も気にしていなかったらしい。
隕石の軌道は地球から外れていたし、そのまま通りすぎると思われていたからだ。
だけど、実際は違った。
徐々にだけど、隕石は地球へ接近していた。誰にも気付かれない内に、ひっそりと。
この深刻な事態に、世界中で大パニック。
こりゃマズイと、総力をあげて隕石の対策に乗り出した。
その結果、国同士の繋がりが強くなって、世界は平和になった。
……まぁ、ホントーに結果的にだけど。
教科書を調べても、隕石接近以降は大きな戦争だったり、テロだったりは起こっていない。
でも、皮肉な話よね。
滅亡するかもって時になって、やっと団結出来たなんて。
隕石が来る前は、世界平和どころか喧嘩ばっかりしてたのにさ。
尤も、こうしてわたしが無事に生きていられるのもそのおかげなんだけど。
とにかく、隕石を壊す為に色んな作戦が実行された。
世界中の兵器を集めて隕石を破壊しようとしたり、逆に地球を動かそうとしてみたり…。
でも、結果は全部失敗。
どんな兵器も隕石には通用しなかったし、地球を動かすには時間もお金も無さすぎた。
まさに打つ手なし。
人類は絶望した。絶望したんだけど、同時に達観してしまった。
『みんな死ぬんじゃ仕方ない』
『だったら最後の瞬間まで精一杯生きよう!』
……みたいな感じで。
要は、『赤信号、みんなで渡れば怖くない』ってわけだ。
…ちょっと違うかな?
ともかく、ここまでがわたしの生まれる前の話。
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