後日談 海の民の子供たち+α

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 しばらく眼を閉じていた阿梨はやがて瞼を開け、嘘だ、とぽつりとつぶやいた。 「悟ったようなことを言っているけど、本当は嘘だ。夫と子供たちと、もっとずっと一緒に生きたいに決まっている!」  心の底から、ほとばしり出る言葉。 「阿梨……!」  勇駿は椅子から立ち上がり、枕もとにひざまずくと阿梨を抱きしめた。阿梨もまた勇駿の首に腕を回す。  咳払いする音が聞こえてきたのは、その時だ。  あわてて体を離してドアの方を見ると、勇仁とムジーク医師が立っていた。手に往診鞄を持ち、白い上着を着た紳士だ。 「失礼。ノックしたのですが、返答がなかったので入らせてもらいましたぞ」  再度咳払いをしてから、ムジーク医師は阿梨が横たわる寝台に歩み寄っていく。   その後をついていく勇仁は勇駿に向かって、  ──病人相手に何をやっておる?  とばかりに非難のまなざしを向けてくる。
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