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「あ、梨華の朝ごはん……」
かたわらで勇利が思い出したように口に手を当てる。
まだ部屋から出られない梨華には、阿梨が朝食を運んでいた。
帰りの航海にむけて多忙な中、せめて朝のひと時くらいは娘と一緒にいてやりたいという母の配慮だ。
勇利は父を見上げ、
「父さまは母さまについていてあげて。今日は僕が梨華に朝ごはん持っていくから」
「しかし梨華には何と説明すれば……」
いつものように母が来なければ当然、梨華は不審に思うだろう。
「大丈夫、心配させないようにうまく話すから」
自信は全くなかったが、とにかく勇利はぽんと自分の胸を叩いた。
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