月影のダリア

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アレクサンドル エミネスクが書斎のソファーの上で目覚めると、いつの間にか体にはブランケットが掛かっていて目の前のテーブルの上はキレイに片付いていた。 まだ昨日のワインが残っているのだろうか、頭が少し重い。 そして向かいのソファーで飲んでいたルカとか言う娘の彼氏の姿が見えない。 テーブルの上の置時計に目をやると、そろそろ夜が明けようとする時刻だった。 耳を澄ませても話し声はおろか物音ひとつ聞こえて来ない。 取り敢えずダイニナングに行ってみるとロレナが普段と変わらない様子で朝食の仕度をしている。 「あら、おはよう」アレクサンドルに気付いたロレナが言った「調子はどうなの?」 「ああ大丈夫だ。それよりもダリアと彼氏はどうなった?」アレクサンドルが堪えきれず尋ねる すると途端にロレナの表情が曇って行った。 そして両方の掌を各々体の横で上に向けて開き肩をすくめると首を横に振りながら切なそうに笑った。 「駄目だったのか?」アレクサンドルが思わず質す 「あの娘の好みが分からないわ、私にはとても上質だと思えたけど」 「上質って、まさか?」 「心配しないで、あなたの分は残してあるから」 ロレナは笑みを浮かべてそう言うと何かの瓶の様な物を差し出した。 それは赤ワインの様なものが入った赤ワインのボトルだった。
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