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ダリアは窓辺に腰掛けて夜明けの景色を眺めていた。
しかし、ここは人里離れた山の中の一軒家である。したがって景色と言っても見えるものは木々、ひたすら木々のみと言うことになる。
ダリアが窓辺に座るのはそんな木々を眺めるためと言うよりも、樹木の香りを味わうため、それを運んで来る風を感じるためであった。
初夏の早朝、心地いい風が吹き抜ける。
立ち並ぶ木々の上には雲ひとつない薄明の空が見える。
「ルカ、酷いことをしてごめんね」ダリアがその今、明けようとする夏空に向かって呟いた「掟だったの…」
その時、一粒の涙がダリアの頬を伝って落ちた。
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