月影のダリア

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ルカ モルドバンは揺れる列車の窓から夜が明けつつある町を見ていた。 様々な記憶が浮かんでは消えてゆく、思い出が泡の様に次々と弾けて散ってゆく。 ふと気がつけば何もない、そんな空しさに包まれる。 そして何か大切なものを思い出せない様な感覚だけがそこに残る。 しかし、それもいずれは消えてしまうだろう。 そして何もない水面に戻る。 水泡とはそう言うものなのだ。
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