月影のダリア

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二人の男が部屋から出て行くと母と娘は女同士ならではの会話を始めた。 「なかなかの好青年ね。見た目もカッコいいし」母のロレナが言う 「そうでしょう、お母さんはそう言ってくれると思ってたわ」ダリアが応える「問題はお父さんなんだけど」 「大丈夫よ、気に入らなかったら泊まっていけなんて言わないわ」ロレナが楽観的に応える 「そうだよね…泊まっていきなさい…だもんね…」 ダリアは自分に言い聞かせる様に言う 「さあさあ話は後にして、早くワイングラスを持って行ってちょうだい」ロレナが言った ダリアがワイングラスを2つ盆に乗せて書斎に入ると、父親が丁度ワインのボトルを片手に応接用ソファーの向かい側に座るルカに、それがいかに希少なものかと講釈しているところだった。 「ごめんなさい、ここに置いておきます」 ダリアは真ん中のテーブルの上にワイングラスを2つ並べて置いた。 部屋を出る際に振り返るとルカと目が合ったのでダリアは「男同士でごゆっくり」と言ってドアを閉めた。
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