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結局夕食を作り終えて家に帰っても、疲れすぎて何も手に付かなかった。無念。泥と汗にまみれたジャージを洗濯機に入れて回す。暑いからきっと明日には乾くはずだ。
ああ、キツい。ツラい。涙が出ちゃう。
でもあの人たちのために頑張らねばならない。
「…………」
ベッドの上で横になりながら、私はぼんやりと蛍光灯を見つめていた。
今日、何かできてないことなかったかな。給仕までしてあげれば良かった。
味見したから美味しくできたと思うし、なんとカツカレーなのでダブルの肉を楽しめたはずだ。モリモリ食べる様子を頭に焼き付けてスケッチすればよかった。
「僕物語」の実写版ができるほどの西木先輩の食べっぷりが見たかった。
柏田先輩は多分、昼と同じように頬袋に食べ物を詰め込んだハムスターみたいな顔をしたはずだ。
キャプテンは「ありがとう」を連呼してくれたかもしれない。その横でマイペースに平原先輩が食し、その横で忍者が音も立てずに食し……。
熱い男竹村先輩とヤンキー千葉先輩が競うように食べ、ヤマネコ兄弟はシンクロして「お代わりください」言ってたかも。
あ、忘れてたけど、控えピッチャーの橘先輩は細い。食も体も。
監督は「一人ノルマ三杯だからな!」と叫んでいるだろう。
いとおしい部員たち。
もっとしてあげられることがあればいいのに。というか、マネージャー足りてない。分身の術を忍者に習わなきゃ……。
そんなことを考えながら、私はいつのまにか眠りに落ちていた。
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