46人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
合宿は三日間行われる。三日目の夜は各々の家に帰り、翌日は試合だ。もし勝てばその次の日も試合。それに勝てば甲子園に行ける。
この合宿でしっかりと仕上げて臨まなければならない。二日目も私は気合いを入れた。
朝食は部員のおかーさん方が交代で作ってくれる。味噌汁と焼き魚、そしてやはり丼三杯のお米。漬物も来ていた。
「マネージャー、明日なんだけどな」
朝の片付けをする私の元に、監督が麦藁帽子をかぶりながらやってきた。
「午前はゆっくり体休めて、午後、浜辺ダッシュする予定。で、そのまま浜辺でバーベキューしようかと思ってるんだけど、いいかな? 道具はこっちで用意するから特にすることはないんだけど」
「じゃあ私は食材の準備します」
はい、と手を出すと、監督はお札をくれた。
「いつもすまないな〜。本当に助かるよ。でな、明日は海で遊んでもいいから水着でも持ってきたら?」
水着!?
スクール水着しか持っていませんが。
いや、それよりもスマホ。両親に画素数の高いモデルのを買ってもらって良かった! 盗撮だ盗撮だ!
「じゃあ、明日は楽しもうな。花火とかもマネージャーがやりたいなら買ってくるぞ」
「ああっ、やりたいです!」
ここ数年、コミケに出品する準備に追われて夏を楽しむ暇さえなかった。ストーリーに盛り込みたいシチュエーションが満載でとても嬉しい。
「おっと、でもあまりにセクシーなのは勘弁してくれよ! アイツらが鼻血出すかもしれないから」
からかうように言って、監督は調理場を出ていった。
ああ、水着のことか。忘れてた。最近走り回って肉体労働しているせいか、お腹のぽよっとした肉がちょっとだけ締まった気がする。
「水着……買ってみるかなあ」
でも、それよりスクリーントーン。
「…………」
水着、買ってみようかな。
最初のコメントを投稿しよう!