夏合宿と水着

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おめでとうございます! セパレート水着です! 竹村先輩は天を仰ぎながら両手を広げて砂浜を駆け回った。何なんだろう、あの松岡◯造ばりの勢いは。 「セパレートってことは上下が分かれてるんだな?」 ゴツい両手の拳を顎下に当てて、乙女になった西木先輩が「キャー」とときめいている。 「ヘソ出しか。過激だな」 こちらも黒のタンクトップを身につけたままの忍者ハットリ先輩。 はた、と千葉先輩と目が合った。 「……!」 彼は端の吊り上がった目を更に吊り上げて、歯を食いしばった鬼の形相。怖いっ! 真っ赤になったと思ったら立ち上がって、海に向かって走っていった。もともと裸足なのでスパイクの心配はする必要ないが、ドボンと飛び込んでいきなり泳ぎだした。 そして負けじとそれに並走して泳ぐ天然センター。 「そんなに盛り上がるような水着じゃないです。ハードル上げるのやめてください」 モブの私に期待しないでほしい。予想通りではなくがっかりした顔を見るのは辛い。こっちの方が余計に悲しくなる。 しかし私の話を聞いていない部員たちは「セパレート、セパレート」と合いの手を打ちながら不思議な盛り上がりを見せていた。 「休憩、終わりだぞ〜」 学校側から監督が帰ってきて、メガホンで大声をあげた。 「だれか、海で泳いでるバカどもを連れ戻してこい〜」
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