47人が本棚に入れています
本棚に追加
おめでとうございます!
セパレート水着です!
竹村先輩は天を仰ぎながら両手を広げて砂浜を駆け回った。何なんだろう、あの松岡◯造ばりの勢いは。
「セパレートってことは上下が分かれてるんだな?」
ゴツい両手の拳を顎下に当てて、乙女になった西木先輩が「キャー」とときめいている。
「ヘソ出しか。過激だな」
こちらも黒のタンクトップを身につけたままの忍者ハットリ先輩。
はた、と千葉先輩と目が合った。
「……!」
彼は端の吊り上がった目を更に吊り上げて、歯を食いしばった鬼の形相。怖いっ!
真っ赤になったと思ったら立ち上がって、海に向かって走っていった。もともと裸足なのでスパイクの心配はする必要ないが、ドボンと飛び込んでいきなり泳ぎだした。
そして負けじとそれに並走して泳ぐ天然センター。
「そんなに盛り上がるような水着じゃないです。ハードル上げるのやめてください」
モブの私に期待しないでほしい。予想通りではなくがっかりした顔を見るのは辛い。こっちの方が余計に悲しくなる。
しかし私の話を聞いていない部員たちは「セパレート、セパレート」と合いの手を打ちながら不思議な盛り上がりを見せていた。
「休憩、終わりだぞ〜」
学校側から監督が帰ってきて、メガホンで大声をあげた。
「だれか、海で泳いでるバカどもを連れ戻してこい〜」
最初のコメントを投稿しよう!