夏合宿と水着

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練習の後半戦が始まり、私は監督とバーベキューの準備に取り掛かった。 「タイヤ引きは見応えあったろ」 俺もキツかったよー、と昔を振り返る監督に、私は頷いた。 「皆さんの筋肉のつき方がそれぞれ違って、どうしてかな、と思いました」 「え? そうだった?」 私が貴重な作画の参考になる写真を見せると、監督も「うーむ」と唸りながら画像を横滑りさせて見比べていた。 「トレーニングも一人ずつメニューを変えた方がいいかな。ちょっと参考にしたいから、もらっていい?」 オーケーしていないのに、監督はブルートゥースで資料を自分のスマホに移してしまった。 「上着着てたやつは分からないな。今度筋肉チェックするか」 その時は私もぜひ立ち会わせてください! 喉の奥からするりと出てきそうになった言葉を慌ててゴクリと飲み込んだ。ああっ、再び出てこようとする。だって忍者の筋肉見てないし、ヤンキーの筋肉ももう一度見たいし。 「さすが俺が見込んだマネージャー。みんなの写真撮って、思い出づくりでもしてるのかと思ったけど。観察してたんだな」 監督はとても善良な人。なんだか申し訳なくなってしまった。私は乗り出した身を収めて自主正座した。 野菜を切り、肉も味付けし、おにぎりもたくさん作った。果実集荷用のメッシュコンテナに各人のドリンクを入れて、台車で運ぶ。 「重いのは俺が持って行くから。マネージャーはもう水着に着替えて来てもいいぞ。あっついだろ? ジャージ」 「あ、そうですね」 そうは言ったものの、ちょっと気分は重い。見られるより見る方が好きな私にとっては、こんな……。 憂鬱に思いながらビーチサンダルに履き替え、私は材料を持って浜辺に向かった。遠くの方で監督の声が聞こえる。 「練習、終わり! みんなでバーベキューの準備するぞー!」 海を越えて届いた風は涼しく、少し塩っぱい気がする。風が出てくるとさっきは凪いでいた波に高さが出て、浜辺でザザッと音を立てていた。 近づいていった私を見た平原先輩が緩く手を振り、吊られるように他の部員たちもこちらに視線を向けた。 「み、みのりん!」 つい大声を出したのは、熱意、ガッツの竹村先輩。
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