目が覚めた後のビックリ作戦

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彼らの写真を見ながら赤くなったり青くなったりしている私に「早く寝なさいよ」と母が言っている。 まだ頭痛いし。本当に寝るに限る。「はぁい」と返事してノロノロ自室に入った。 でも、もし、よ? もしあの選手たちのうちの誰かを主人公に描くとしたら、もしかして絶好のチャンスなのでは? 私には実際に選ぶ権利なんてないけど、妄想の翼を広げて羽ばたくなら、誰がいいだろう? 後ろ手にドアを閉めて突っ立っていた私。なんだか急に楽しくなってきた。逆ハーレム状態! ウヒャヒャ! ピョンとベッドに飛び乗る姿は、多分ウシガエル。 やっぱり一番の候補は千葉先輩かなあ! 最強のツンデレ! 私より恋愛下手な感じがまた可愛い。 最初会った時のあの恐ろしい睨みが、今日の「み、見てねえから」までよくぞ発展したものだ。ハッ!? 発展? おおお、何と傲慢な! それに。 ーーみのり! 今考えても胸が痛くなる。名前で呼んでくれて、嬉しかった。 ……もしやこれが恋!? 千葉先輩とキスするのを想像して「ギャア」と枕をぶん投げてしまった。力づくで来られたらどうしよう!? ベッドに転がって抱き枕を力一杯抱きしめてゴロゴロ転がった私。ふと動きを止めた。 でもキュンなら柏田先輩にも! 手を握られて見つめられた時、心臓が止まるかと思った。 甲子園とか行っちゃったら、モテモテのモテ男になるかもしれない。整った顔立ちしてるし、打撃力も半端ない。そうだ。今日の試合もホームラン2本。毎回打席では出塁してる。 うわあ、漫画のヒーロー、ここにもいた! あの人本当にカッコいい! YES! 子供みたいにはしゃいだり、常に笑顔で接してくれる全力熱血竹村先輩も可愛くて好き。優しい雰囲気、頼りになる熊のような大きさで包み込んでくれる西郷西木先輩も好き。 何があっても動じない平原先輩も頼り甲斐あって好きだし、一生懸命みんなをまとめるキャプテンも支えてあげたいし、忍者ハットリなんて、存在だけで萌え対象決定。 スコアブックをつけるのを優しく教えてくれる、料理も上手な橘先輩も好きだし、双子とか見てるだけで可愛い。 ……いけない。私はのぼせ上がっている。不埒である不埒である。 とにかく明日も試合だ。今日は早く寝るに限る。 緩く冷房を入れた中、私はタオルケットを頭から被って邪念を払いながら目を瞑った。
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