月曜日の美容師は…… 妄想コン「あの子がいなくなった」参加作

2/16
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
お店へ行けば、ガラスごしに働く美和子を見ることはできる。 それが、いざ月曜日になると、忽然と姿を消すのだ。 思い余って美和子の妹のあきちゃんに連絡を取ってみて、それとなく様子を伺ってもみたが、 「それ、むしろ私が聞きたいくらいだよ。お姉ちゃん、普段もお仕事忙しいのに月曜になるとふらっとどこかに行っちゃうの。行き先聞いても、はぐらかされるし。でも全然おしゃれな格好とかじゃないから、誰かと会ってるとも思えなくて。本当にお姉ちゃん、何してるんだろ。心配だよ……」 なんて泣かれると、よけいに胸が張り裂けて。 巷に、「月曜の美容師は魔法使いになる」とか、「消えてなくなる」とかいう有名な都市伝説があるのは知っている。 でも実際に就職を果たした美和子にそんな馬鹿げた現象は起こらなかったし、これからも無縁な戯れ言だと思っていた。 そう、思っていたのに。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!