それは嘆きと葬送

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「貴方の病名は『急性鉱物化症候群』別名『宝石病』というものです」 先生の言う事が理解出来ない。 いや、理解は出来る。 頭が追い付いてこないのだ。 レントゲン写真にもMRI画像にも、私の体の中から生身の肉を見つける事は叶わなかった。 既に鉱物と入れ替わっていたらしい。 この『宝石病』は痛みも何も無く進行して各臓器の機能をそのままに置き換わる為、発見された時には皮膚を残すのみ···というのがとても多い謎の病なのだという。 それからこの体の強度は、変わってしまった鉱物の強度と同じになっているのだという。 その為ちょっと変な動き方をして擦ったりぶつけたりすれば傷が付いたり、下手をすればバッキリと割れる事もあるという。 だが不思議な事に、普通に食事をして栄養を取ればまた再生してくるのだとか。 そして、私の体が変わってしまった宝石は『レッドベリル』だったらしい。 エメラルドと同じ『緑柱石』と言われる鉱物の為、別名『赤いエメラルド』と言われている宝石。 モース硬度は高めで擦り合わせた傷にはそこそこ強いが、靱性が低く落としでもしたら直ぐに割れてしまうほど脆いらしいのだ。 「良いかい?君の体が変わったこの宝石は、凄く高価なものだ。かなり危ない目に合うかもしれない。」 気をつけるんだよ、と続ける先生の言葉が、私には良くわからなかった。
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