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長登屋さんの布団でありんす。
うふふ、うふふふふ。だんまり?
なら、わっちの話に戻りんしょうか。
わっちがあちこち貸し出されている内に、八柳屋さんは自分で商売を傾けて潰れんした。欲を出しすぎたんでありんすなぁ。
そうしてわっちが流れた先が、今の長登屋でありんす。
すでに何度も使い古されていたわっちでいんしたが、誰が見ても新品同様の美しい“赤”に、やはり魅せられる者は多かった。
長登屋でわっちは千雪という娘さんに出会いんした。水揚げを終えたばかりの新造さんで、いざこれから遊女として客を取っていこうという時でありんした。
千雪はわっちの求めていた娘でありんした。
顔は丸く、おちょぼ口で少し額が広い、綺麗というよりは可愛らしい顔立ち。
ちょっと人見知りの気があって、内気な性格。
けれども相手に慣れてしまえば、見世の小男達にも同情してしまえる優しさ――甘さ。
千雪は、・・・わっちにとても似ていんした。
わっちは千雪を押し上げようと思いんした。他にもわっちを使いたがる娘さんはおりんしたが、わっちは特に千雪の仕事に力を入れて手伝いんした。
千雪の評判は客を取り始めると同時に一気に駆け上がり―ー。
最初は初初しく、褥では手練れに。・・・と、多くの男たちが千雪を指名したのでありんす。
千雪はあっという間に部屋持ちにまでのし上がりんした。
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