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依頼内容は人捜しだった。
依頼者の宗中総一は離婚したばかりだった。長年連れ添った妻がいたが、最近になって若い女ができた。三ヶ月前に出会った彼女との関係は、これまでの人生になかった新鮮なもので、年甲斐もなく恋に落ちた。彼女もそれに応えてくれた。
その関係は、すぐにいっしょになる話にまで発展した。そして、宗中は今の妻と別れた。
宗中は資産家で、慰謝料としての財産分与は数十億にのぼったが、宗中はのんだ。
こうして、若い女との新しい暮らしがスタートする──はずであった。
が……。
結婚を控えたその彼女が一ヶ月ほど前に行方不明になったのだ。待てど暮らせど連絡もなく、警察には捜索願を出したもののなんの音沙汰もない。これはアテにならないと、じりじりとした思いを募らせた末、今こうして、探偵にすがってきたのだった。
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