真実の入り口

10/19
前へ
/67ページ
次へ
 三条から連絡があって、探偵事務所を片っ端から調べていた。 「おれもそう思っていたところだよ」  三条に言われて、先野も自分の考えを話した。推測にすぎなかったが、その可能性はある、と踏んだ。  偽名まで使っていたということは、最初から宗中の前から消えるつもりだった、との結論に至った。その上で偶然を装って出会い、結婚の約束まで取り付けた。なんの目的でそんな工作をする必要があったのか……。  山橋探偵事務所、とプレートの貼られたドアを開け、すぐ正面にある受付で来訪目的を告げた。 「こちらにいらっしゃる弓野さんは今お手すきでしょうか? 以前、依頼を受けてもらったので今回も頼もうかと思いまして」  しばらくお待ちください、と受付係の女性スタッフに面談ブースに通された。

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加