熊がおちていく。

6/6
前へ
/6ページ
次へ
 気がつくと僕は、あの大きな岩壁に居た。  その岩壁の前に立っているとかではなく、正しく岩壁に居たのだ。  ゆらゆらと、岩壁と一体となった僕は、どうすることもできずに居た。  なんでここに居るのかは分からないけれど、きっと僕はもう”熊”ですらいられなくなってしまったのだ。  僕は僕の名前を失って、”熊”ですらなくなって、この岩壁から逃れることすら叶わずに、ゆらゆらとしているしかできないのだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加