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お父さんの余命宣告日まであと一週間。 お母さんの葬式準備が始まった。 親戚は6世帯に及んだ。 自宅では狭すぎたので、予約しておいた市民センターを借りることになっている。 帰食葬にあたって、前もってメニューを決めとかなければならない。 1番安くてポピュラーなのはバーベキュースタイルだ。 セルフ式なので小さい子供たちも最後まで飽きずに参加出来る。 しかし、お母さんは違った。 この世で1番優しかったお父さんとの愛を証明したかった。 働き者で優しく寡黙だったお父さんは長年立派に稼いできた。お母さんも贅沢をせずこっそりこの日のために貯めておいたのだ。 今日こそ、最終オーダーの日。 なんと、お母さんが頼んだのは一部の富裕層しか頼まないという「鉄板焼スタイル」だったのだ。 安楽死ののち、一流のシェフがその都度切り取りながら焼いていくのだ。
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