62人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
信じられない。でも摘ままれた鼻が痛いので夢ではないようだ。
それに目の前の先輩が怒って顎が渋い。梅干しみたいな顎になってる。
「それなのに、俺を嫌いだあああ?」
「ご、ごめんなさあああい。だって、先輩の前だと、こんな、こんな性格ブスになっちゃうんだもん。私も、私もいやだよおおおお」
どうしたらいいの、と大声で泣いてしまった。
「うん。俺も分かる。美沙が俺のこと、格好いいって言うからちょっと頑張ってる。嫌われたくないから決め顔ばっかしてる気がするよ」
クスクスと笑う先輩に、今度は心から「ごめんなさい」と言った。
先輩が嫌いじゃないね。私が悪かった。
「だーめ。俺、怒ってるし」
「えええ、イケメンで優しい先輩、ごめんなさい」
「どうしよっかなー」
立ち上がった先輩が駅の方へ歩いていく。
急いで走って追いつくけど、こっちを向いてくれない。
最初のコメントを投稿しよう!