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彼氏の元カノがブスでした。
初めて彼氏ができた日、帰り道の歩道橋に虹が架かっていた。
電車に乗ると、結婚式場からウエディングドレスを着た綺麗な新婦が、新郎にエスコートされて幸せそうに階段を降りていたのが見えた。
高校の登下校で毎日見ていた風景が、彼氏ができたと言うだけで幸せでふわふわしたお花が舞うような煌びやかな道に変わった。
スキップして帰りたいぐらい幸せだった。
電車に揺れながらにやける顔を押さえていると、早速メッセージの通知が来た。
『家に帰ったら、返信して。電話しようよ』
「ひええ。なんか文字まで格好良く見える!」
先輩だけ文字の筆記体が違うように見えてしまうから不思議。
私に『じゃあ、俺と付き合って』と真っ赤になりながら告白してくれた人は、私の一つ上のサッカー部の伊里上 光敏先輩。名前がちょっと和風なところも格好いいし、日に焼けた小麦色の肌に部活のせいで痛んだっていう茶色の色素の薄い髪もさらさらだし、笑顔が可愛いし、なのにサッカーは誰よりもうまくて格好いい。
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