かけがえのない妹

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結香の右足の切断手術は、それから1ヶ月後に施された。 膝関節離断と呼ばれる切断で、右足の膝関節で切断され膝から下の部分が切除されるため、かろうじて大腿部分は全て残った。 切断後は右足に痛みがあるようで痛み止めの点滴をしていたが、2日程すると車いすでお手洗いに行けるようになった。 1週間ほど経つと足の痛みも和らいだようで、松葉杖で病院内を歩き回れるようになった。 結香は私が思っているよりも元気だった。 右足を切断する事態になったことを結香はどう考えているのか、私の頭の中は結香がこれからどのような人生を歩むことになるのか、そのことばかりが心配だった。 ある日、私が結香のお見舞いに病院に行って、病室で結香と2人だけになった時、私は結香に謝らなければと思って自分の正直な気持ちを伝えることにした。 「結香、本当にごめんね!  あの時結香は私をかばってくれて車にはねられたんだよね!  私のせいで、結香の右足を切断することになってしまって…」 私は涙が溢れてこれ以上話を続けることができなかった。 すると結香は笑いながら、 「大丈夫だよ!  お姉ちゃんは、何も悪くないでしょう!  それに私は元気だよ!  右足が1本なくなったくらい、へっちゃらだよ!」 結香は私を慰めようと思って言葉をかけてくれたに違いない。 この結香の言葉に、私の気持ちは少し救われたような思いがした。 「でも、好きな陸上ができなくなっちゃうね!」 私は涙が少し落ち着いて話をすると、妹が少し強い口調で訴えてきた。 「お姉ちゃん、私陸上やめるつもりはないよ!  左足がある限り、陸上はできるところまで続けるつもりだよ!」 私は結香の気合に圧倒されてしまった。
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