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僕は生活のため宅配の仕事に就き、ほどなく杏と結婚した。
結婚式には職場のみんなや、僕の父、杏の両親が出席し、僕らを祝ってくれた。
やがて杏は僕たちふたりの子を身ごもり、男の子が産まれた。
僕らは子供に「太一」と名付けた。
太一は元気のいい子で、僕には似ずに頭のいい子に育った。
中学生くらいになった太一は、「タイチ」によく似てきて、僕は彼が高校生くらいになったとき、あのジッポを彼にプレゼントした。
タイチ、お前の言う通り、これはただのゴルフボールだ。
お前の言った通り、これはただのゴルフボールになったよ。
僕は大事にしまったゴルフボールを掌にのせてつぶやいた。
タイチ、ありがとう。杏は今も元気だよ。
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