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「すまんけどのぉー」
しばらく高校の教師の授業より何倍もわかりやすいタイチの数学や物理と杏と彼のタッグの全教科サポートを受けながら三人、楽しい時間を過ごしていると一階から父さんの声が聞こえた。
「はいはいどうしたのー?」
「今日はちょっとまともな飯なくてのう、悪いけど三人で飯は食えるか?」
「わかったよ」
今日は金曜日だ。
「またコハクへ行こうか」
僕がいうと杏は「いいね、わたしあのお店大好き」
と両手を上げた。
「俺もたまにはああいうオシャレな店行くの賛成」
タイチも右手の親指を立てた。
「一樹、今日は前菜のサービスはない代わりにお嬢ちゃんの分つけてないからな」
僕らが前はうまっていた個室で食べ終わって話していると日下部さんがデザートを持って現れた。
「ありがとうございます」
「日下部さんありがとう」
杏は可愛らしい笑顔をつくって頭を下げた
「こいつほんとに働きもんでなぁ、サボるのもうまいけどまぁそれは仕事がうまいからっていうか、つまみ食いはバイトの中でも一番多いけど、改善提案だよ。
ここをこうしたらもっと効率がいいとか、さりげない一樹の言葉、考えてみたらおれもそのうちそうしようと思ってたこととかな、どんどんだしてくるんだよ。
このぉ、小出しにしてんじゃねぇぞ、次の給料見てみろ、時給上げといた。
ゆっくりしてってくれ」
「やったな一樹、時給アップだって」
「一樹褒められっぱなしじゃん。将来はウエイターの正社員?」
「いやぁ、まいったなぁ」
僕が出した改善提案はもちろん「未来」からもってきたもので、でも店は繁盛しているらしく、一度改装もするらしい。しかしやっぱり日下部さん見てるなぁ。誰も見てないと思ってつまみ食いしてたのに。
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