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手ぬぐいをほどき、血で汚れた腿をこする。刺されたはずの箇所を確認して、さらに混乱する。傷口もなくなっていたのだ。
「何を驚いているのだ? 治癒魔法を唱えたのだから痛みも消えるのは至極当然であろう??」
(ほんとにさっきから何を言っているんだよ。治癒魔法? そんなものいつ唱えた? それ以前に猫だぞ!? ――って魔法ってなんだよ!!
ダメだ、突っ込みどころのオンパレードに頭が追い付かない。
足の痛みは消えたが、今度は頭が痛くなってきた……)
「カッカッカ、そう混乱するでない、そろそろ我の偽物も来てしまうぞ?」
その言葉に今の状況を思い出す優馬。
(そうだった!)と今はとにかく自分の安全を確保しなければならない事を思い出す。なぜだかわからないが目の前のソラが、優馬の愛猫のソラであることに間違いはない。
なぜ分かるか?
それは優馬自身も知りたい事実だった。
言っていることが意味不明すぎるが、それだけは何故だか分かるのだ。分かるのだから仕方がない。
とりあえず今は自身の身の安全の確保を優先する。
目の前の危険となる存在の子供。
喋る猫の動揺に、注意が避けてしまっていたが、あれから一向に動く気配はなかった。
(――ん?)
「子供の怪我も治ってる?」
見るとあのグロ注意だった傷がいつの間にかに塞がっていた。
血の跡がそのままであるから痛々しい印象ではあるが、恐らく優馬と同じで傷痕すら残っていないのだろう。
「それはそうであろう。我も鬼ではない、奴にも治癒魔法を行使してやっている。
心配するな、奴を支配していた黒くてよくわからないモヤモヤも祓っておいた。
今はただの子供だ。そのうち意識も戻るだろう」
さも当然のようにソラが説明をする。
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