転生したら猫だった。

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 周囲に魔素がないため自身を中心に円状に放出させ、そこに感知魔法も組み込んだ魔法を行使したのだ。  そして。 「ふむ、やはり急がねばならぬようだ」  どうやら懸念していたことが当たっていたようだ。 (――何かいる)   片割れの存在を感知することができたのだが、残念ながらすでに『何か』の魔の手が迫っていた。  感知魔法に反応があってすぐ。その反応が歪んだのだ。  タイミングが良いのか悪いのか、どうやら『片割れ』のいる半径数百メートルに渡り、何らかの細工が何者かにより施された所だった。  救いだったのは他の者ならばともかく、ソラが全力で走れば『片割れ』がいるであろう周辺にならば、すぐに着くことが出来る距離であったことだろうか?    何せーー。  踵を返しスッと音もなく塀を駆け登り、『片割れ』がいるであろう方向へ駆け出すと、ものの数分で感知魔法の反応があった近くへと辿り着くことが出来たのだから。 「ふむ、この霧の中のようだな」  目の前には一面の霧。  霧が異常に発生していることで、既に数名の野次馬が集まっていた。  霧との堺目で立ち尽くしているものや、霧の奥を興味本位で覗いているもの。  ふざけて入ろうとする子供とそれを止めて叱る母親の姿もあった。  ソラはそんな野次馬から離れ、改めて感知魔法で反応があった辺りを確認する。     ……どうやら『片割れ』がいることは間違いないようだ。  やはり詳しい位置まではわからないが、霧の中にいる事だけはわかる。  今や霧全体から『片割れ』の反応があるのだから。そんな霧が広範囲に広がっているのだから質が悪い。 「『片割れ』よ、首を洗って待っているがよい!!」    だがそんな状況をまるで楽しむ様にカッカッカッと高笑い。『片割れ』を見つけるのにも骨が折れそうだと言うのに自らの気配を絶つと、ソラはそのまま霧の中へと足を踏み入れるのであった。
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