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ウチの猫、喋ります。
目の前には先ほど襲ってきた子供。その右腕は、一部の肉がちぎれ、骨が見えている。グロ注意な状態だ。
それでもグルグルと焦点の合っていない目をこちらに向けながら何の反応も見せない子供を前に、ソラはクククと喉を鳴らす。
優馬からしてみれば、正直意味が分からない。
「我も目覚めるのが遅かったのだから文句も言えぬか」
更にソラはカッカッカと声をあげ笑い出す始末だ。
(本当に何なんだよこの状況は――!?)
「って、猫がしゃべった!?」
思わず叫んでしまい、自分の言葉に驚き口を塞ぐ優馬。
(いやいやいやいや、ありえないだろ? 何でしゃべれるの?)
「カッカッカ、何を驚いているのだ? 獣なのだからしゃべる物がいても不思議でなかろう?」
「不思議でしかないから!」
さも当然のようにしゃべりながら首をかしげるソラであるが、優馬からしてみれば思わず突っ込みを入れてしまうのも仕方のないことではなかろうか。
(それとも何か? 俺がおかしいのか?
あまりの摩訶不思議体験に俺がおかしくなったのか? 恐怖と痛みで幻聴が聞こえだし――!?)
などと絶賛混乱中であったところで自身の違和感に気が付く。
「痛みが無い!?」
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