現実逃避とマイエンジェル

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現実逃避とマイエンジェル

 数分前。   朝倉 優馬(あさくら ゆうま)は目の前の倒れ込んでいる10にも満たない幼い子供に恐怖していた。    先程無警戒で幼い子供に近づき刺された右腿がジンジンと響き血を滲ませている。  今は刺された際に子供を突き飛ばし距離を取っており、カバンに入れていた手拭いで取り敢えずの応急処置をしているが、痛みと、恐怖で理解が追いつかない。  自分の処理しきれない現象に、「何故自分がこの場にいるのだろう」「こんな目にあっているのだろう」と今更意味が無いことだとわかっていても、自身の選択の間違いを探すように今日一日を思い返さずにはいられなかった。  朝の時間密度は高く、それは夏休みを迎えたとしても、まじめに部活に励む少年少女にとっては、休み前とたいして変わりはしないだろう。  ピピッ、ピピッ、と鳴る目覚ましとの幾度かの攻防を行い寝床で粘り、起きてからは朝のニュースを聞きながら朝食をかきこむ。  その後は部活の準備を行い、何とか作った安らぎの時間で愛すべき愛猫と愛犬を愛でる。  中学で剣道部に入部している優馬のいつもの日常だ。  (うん、やはりウチの子たちは可愛すぎる)  朝の慌ただしい時間であっても、この時間だけは必ず確保しなければならない時間だ。   「にゃぁー」  庭に足を出しながらウッドデッキに腰を掛け愛犬のブラッシングをしていると、愛猫が優馬の背中に体をすり寄せてじゃれてくる。  横でちょこんと撫でられ待ちをしている愛猫の首元を撫でてやれば気持ちよさそうにグルグルと喉を鳴らしながら頭を上げ、もっと撫でてほしいといわんばかりに、撫でやすいようにしてくるしまつ。 (この子達は天使なのか!?)  等と本気で思いながらも時間を忘れ夢中になって愛猫を撫で回したのが今朝のことだ。
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