蛇になった男

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最近、結衣は私に対して生意気になった。特に反抗期らしきものはないのだが、私に意見を言うようになった。それも思春期特有のものなのだろうか。 その内容は、下の子の叶恵のことだった。なんであんたが叶恵の子育てに口を挟むの?と聞くと私が嫌だったことを妹にして欲しくないからだと言った。 「考えるのが面倒くさいからってすぐにわからないって言わないで。口ごたえをすると屁理屈だと一蹴しないで。」と結衣は私に言った。ママが屁理屈だと思うものも、私たち子供にはれっきとした理屈があることもあるんだと、結衣は言う。 確かに、親の私には屁理屈に聞こえるものも、そこで終わりにせずに、どうしてそういう考えに至ったのか、聞くことが大切なのかもしれない。子供と向き合うことに手を抜いていると言われればその通りだった。 結衣は私を軽蔑し始めているのだろうか。今の家庭よりも、匡臣さんと暮らしたがっているのだろうか。
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