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立っていられなかった私が小さくしゃがみこむその目の前に、「ドウしたんですか?!」なんてのんきな事を言って近づいて来た。
私の左肩に手を回し大きくゆっくりと撫でる手のひらが優しくて、私はまた涙を流すことになってしまう。
「なんで、……急にいなくなるのっ」
「アッ、ゴメンナサイ。アンナにとって良くないとオモッテ……ワタシが、女の人をスキだなんて……」
「なによ、それ……心配したから……」
「……アンナ」
「私の、せいかもって。……ダメなこと言った、かなって……」
「……そんなコト、アリマセン。」
私の肩や頭を、慰めるように温かく優しく触れるサラは、時々流れる涙を拭ってくれた。
サラの体温が、頬に触れた手のひらから伝わって、柔らかく私を溶かしていく。溶けた氷の内側から現れたその心は、どうしようもない、サラへの、サラへの離れたくない、ただそれだけの気持ちだった。
「サラ……」愛の溢れる大きな瞳を見つめる。
「アンナ……」少し神妙な雰囲気で、数回まばたきをしていた。
その瞬間、サラの顔に限界まで近づいて、唇を合わせた。
柔らかな唇は瞬間はじけて、驚いたサラの白い肌は少しずつ赤みを差していった。
「サラ好きだよ。……わかんないけど、サラと離れたくない」
「……」
無言のサラ。その姿に急に何をしてしまったのだろうと思い直す気にさせられた。
「……ごめん、ごめん。ううん、あの、……そうじゃなっ、んっ」
言葉の途中に二度目の唇が降ってきた。
今度は互いの気持ちを交わし合うように。幸せに包まれた私は涙の瞳のまぶたを閉じて、サラとキスをした。
ゆっくりと離された唇を感じて瞳を開くと、私を見つめるサラの大きな瞳はまるであの小宇宙のように私に愛を抱かせた。
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