2020

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2020

2020年、東京。 56年ぶりの夏季オリンピック開催に、日本中が熱狂した夏。 その熱狂のド真ん中に、俺はいた。 選手ではない。選手にはなるのは、大学時代に諦めていた。 それでも、日本サッカーの発展を願った俺は、レフェリーの資格を取得した。 現役時代から、フェアに物事を判断してきた俺には最適な仕事だ。 特技の動体視力も活かせる。 ベテランレフェリーだった俺は、夢の舞台に立っていた。 オリンピックサッカー決勝。ウルグアイ vs イングランド。 日本代表になっても到達できなかった場所に、俺は立っていた。 家族にも誇らしかった。ようやく、自分のコンプレックスが解消されるような気がした。 高まる緊張感。 絶対に負けられない試合の裏にある、絶対にミスできない判断。 俺の一世一代の大仕事だ。 ウルグアイの選手は、気性が粗い。準決勝でも、ラフプレーが目立ったり、レフェリーに突っ掛かっていた。ただし、それは闘争心のあらわれであり、絶対に勝ちたいという想いがあってこそだ。俺は、元サッカー選手を目指していたものとして、その気持ちは理解している。ただし、フェアにジャッジしようでないか。サッカーは紳士のスポーツなのだから。 さぁ、試合が始まる。
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