ひびきわたる歓声

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ひびきわたる歓声

延長戦の前半の終盤。 イングランドのロングパスが、ゴール前に入る。 危ない!と思ったときには、もう遅い。 ゴールネットに突き刺さるボール。 スタジアム中に響き渡る歓声。 フィールドを走り回るイングランドチーム。 私の胸も、思わず熱くなる。 このゴールを決められたら、どれだけ気持ちが良いんだろう。 ウルグアイチームは諦めていなかった。 しかし、イングランドは守備を固めている。一向にチャンスが訪れない。 延長戦の前半は、1:0でイングランド優勢のまま、終了。 東京オリンピック、男子サッカー決勝。 最後の15分間が、いま始まろうとしていた。 延長戦の後半の半ば。 イングランドの攻勢。しかし、ウルグアイにカットインされる。 縦へのパスが、リズムよくつながる。ゴール前に走るエース。 ここがつながれば、フリーでシュートが打てる。 完璧なスルーパスに、スペースへの切り込み・・・ これは・・・ ピピィー!!!! 私の笛が鳴り響く。ウルグアイの選手が困惑する。 気持ちは分かる・・・ただ、「オフサイド」なんだ・・・ 選手が抗議をしている。 すまない、でもオフサイドだ。副審もそう言っている。 選手が大声を出している。 すまない、悔しい気持ちは分かる。でも、まだチャンスはある。 選手が詰め寄ってくる。 すまない、え、ちょっと待って・・・お前だれかに似てるな・・・ 「あれ、トム・ブラウンのみちおに似てない???」
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