俺だけでいい。

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「新入生のみなさん、このたびご入学おめでとうございます。」 金髪の、絵本に出てくる王子のような容姿をした人物が台の上で話し始めた。 確か生徒会長の希道光星(きどう こうせい)という名前だった気がする。 希道財閥のご令息であり、成績は常にトップを維持するカリスマ的存在。 それが、希道光星。 そういえば、希道光星に会ったら媚を売れと父様に言われてたっけ。 あの人の周りの空気はやけに煌びやかで、全身からオーラを発している…気がする。 流石ホモの集まり、男子校なだけあって黄色い声があちこちから飛び交う。 俺と同じ新入生もちらほら頰を染めたり、うっとりとした視線を向けていた。 席順は名簿順で座っているので隣は真司が座っている。 真司もそんな視線、表情を向けているのだろうか。 気になってちらりと顔を見ると、視線に気づいたのかニコッと笑った。 『どうかなされましたか?』 俺でもわかりやすいような口パクで言われた。 いくら生徒達の黄色い声がうるさくても、今は入学式の途中だ。 そこを配慮しての口パクだろう。 俺はなんでもない、と横に頭を振った。
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