バス停で

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バス停で

 さーいきんさいきん、とある田舎町の高校に、戸高俊平くんと小宮葵ちゃんという2人の男女がおりました。  戸高くんはほっそりとしていて背が高く、葵ちゃんは猫背で、戸高くんが真後ろに来ると、頭の上にアゴを乗せられてしまうくらいの背丈です。 「頭の上にアゴを乗せないでください」 「シャンプーかえた?」  高校生活が始まり、新学期独特の喧騒が過ぎ去った頃、2人は校門前のバス停でバスを待っていました。  仏頂面でスマホを触る葵ちゃんの後方で、恵比須顔の戸高くんは、それはそれは幸せそうにアゴを頭の上に乗せ、お鼻いっぱい、柔らかな髪の匂いを吸い込みます。 「はい、かえました。 頭の上から、アゴをどけてください」 「イイ匂い」
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