猫背

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猫背

 両親の離婚後、葵ちゃんはお母さんの実家で暮らすことになりました。 お母さんは仕事で忙しく、そのほとんどの時間を、お爺さんとお婆さんと過ごしました。  お爺さんは若い頃、映画製作会社に勤めていたこともあって、家には沢山のビデオやDVDがコレクションされています。お婆さんの入れてくれる美味しい緑茶を一緒に飲みながら色んな映画を3人で見ました。  朝から散歩に行くのが日課のお爺さんが、いつも学校の近くまで葵ちゃんを送ってくれます。家に帰ると、優しいお婆さんが葵ちゃんの話を丁寧な相槌を打ちながら聞いてくれました。もちろん、戸高くんのことも知っています。  実を言うと、戸高くんに送っていた手紙の内容も、いくつかはお婆さんからアドバイスをもらったもので、子供っぽい文面がある中、数枚はとてつもなく大人びた内容のものもあります。戸高くんは気付いていませんが。  そんな風に毎日を幸せに過ごしていた葵ちゃんですが、中学生になると、とてつもない大きな悩みを抱えることになります。  
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