君の1週間を私にください

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「君の1週間を私にください」    あの日、ダンボールの中で見つけた臆病な目。赤毛の君と過ごした長いながい1週間。  あれは私がまだ幼稚園生の頃。お母さんと私は、庭のジョウロを買いにホームセンターに来ていた。 先日の台風が長年使っていたものを連れて行ってしまったのだ。 私達は緑色のプラスチックのジョウロをカゴに入れてレジに向かった。  レジに並んでいる途中、横の方からキャンキャン、キャンキャンと声がした。 そこにあったのは小さなペットコーナー。10匹にも満たない犬や猫が所狭しと鳴いていた。 「お母さん、見てきてもいい?」 元々動物が好きだった私は母にそう尋ねる。 「じゃあお母さんがお会計終わるまで、あそこで待っててね。」  その言葉を聞いて私は直ぐにペットコーナーに向かった。 ゴムで作られたサンダルをギュッ、ギュッと鳴らしながら夢中で向かった。  そこには可愛い犬や猫が沢山。私は中でも小さな黒い柴犬に惹かれた。その柴犬はガラスの向こう側からキャンキャンと私に向かって鳴いた。いつか、私も犬を飼ってみたいなぁと心を躍らせた。
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