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プロローグ
狭い生活空間の一角。
古びた食卓の上に一枚のメモが乗っていた。
「ごめんなさい。私はあなたとの生活に疲れ切りました。出ていく事を、許してください」
メモにはそう書かれている。
男はその食卓の椅子に腰かけ、酒をあおっていた。
目は赤く、イライラとした仕草を繰り返している。
「エミリア……どうして……」
彼の口からは何度もこんな言葉が出てきた。
誰からも返事は無い。
昨日まで二人の人間がいたはずの場所には、今や彼一人しかいなかった。
薄暗い部屋の中で、彼はただ酒を飲み続けていた。
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