0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「おはようございます。本日は2月1日、もうすぐ節分がやってきます。外出時は一人での行動を避け、鬼人を見かけた方は、鬼人特殊対策局“CDS”へ通報をしましょう。それでは、皆さん本日も安全で健康な1日をお過ごしください。」
「…朝はいつも同じだな。」
風魔 赤也は、朝のニュースを見ながら朝食のパンをかじる。
リュックを背負い、ダイニングテーブルに置かれた両親が写った写真に「行ってきます」とつげた。
「あ…忘れてた」
玄関の戸を開ける前に思い出したかのように、コートのポケットに入れてある薬を取り出し、口に含む。
ゴクリと飲んでから、改めて「行ってきます」と言うとゆっくりと扉を開けた。
道路は少し凍っていた。
昨日降った雨のせいだ。
凍った水たまりを飛び越え、学校へ向かう。
ふと、昔の自分を思い出していた。
昔は、薬を飲むと手足が重く、だるくなって普通に歩くこともできなかった。こんな道が凍る季節にはよく転んでいた。
今も身体の重さは感じるが、昔と比べればかなり自由に身体を動かせるように
なった。
なんでこんなことを思い出すのだろう…。
あぁたぶんもうすぐ節分だからだ。
今年は父がいない。
やることはわかっている。頼るべき人も知っている。
だけど…。
…考えるのはやめにしよう、
少なくとも今日は何も起きないのだから。
そう自分に言い聞かせ、学校への歩みを早めた。
最初のコメントを投稿しよう!