逃避

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午前の授業が終わり、昼休みになると皆午後の講習のことなんて忘れているようだった。 それよりも目の前に控える学期末テストの不安を友達と共有するばかりだ。 実感がないんだ。 人が死ぬ実感も この中の誰かが鬼人である可能性も 自分が殺されるかもしれない恐怖も それはそうかもしれない。 ここ3~4年は鬼人による被害は減ってきているからだ。 むしろ、人が鬼人を殺す数の方が増加してきている。 鬼人街だって都市伝説だと思ってるやつもいるくらいだ。 「赤也、そういえば今日の実技講習参加するか?」 俺の考え事を遮るようにカズが話しかけてくる。 「あーそうだな...俺はパスかな、用あるし」 本当は、用事なんて無いが。 「そっかあー。おまえ運動神経良いから鬼人も振り切りそうだしなぁ。」 「・・・」 「ん〜わかった、言うわ。」 カズは少し困った顔をしてから、話す。 「優梨がさ、お前来るなら受けるっぽいんよ。で、俺はあいつには受けといて欲しいんだけど...ダメか?」 「おい、妹出すのはせこいぞ。」 「たのむよーマジで。ラーメン奢るから!」 カズが俺の目の前で両手を合わせる。
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